PRODUCTION NOTE | 映画『君が最後に遺した歌』公式サイト
2026年3月20日(金・祝)公開!主演:道枝駿佑×ヒロイン:生見愛瑠。2人だから作れたもの、2人にしか遺せなかった愛の形。“歌をつくる二人”を通して愛を描く、およそ10年にわたる感涙必至のラブストーリー。
Production Note
プロダクションノート
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1st VERSE
読み合わせ
-はじまりの歌はバースデーソング- -
2nd VERSE
クランクイン
-道枝駿佑の目が語るもの- -
3rd VERSE
初共演
-ふたりの位置関係と距離感- -
4th VERSE
音楽
-生見愛瑠の歌が奏でるもの- -
5th VERSE
セット
-それぞれにとっての聖域- -
6th VERSE
クランクアップ
-挨拶で見せた涙と笑顔-
読み合わせ-はじまりの歌はバースデーソング-
1st VERSE
「世界が雨音なら 何も見えなくていい」。春人が綾音と自分たちの曲として書いた「君と見つけた歌」。その歌詞を口にする道枝駿佑に、「いいですね。本当に詩を朗読するみたいにやってみてください」と三木孝浩監督がアドバイスをする。2025年7月30日から撮影に入った『君が最後に遺した歌』だが、こちらはクランクイン前の台本の読み合わせでのやりとり。春人を演じる道枝、綾音を演じる生見愛瑠が顔を合わせ、ふたりの稽古と打ち合わせが行われていた。
道枝には「春人は言葉が好きなゆえに、ひと言、ひと言をちゃんと伝えようとする」、生見には「綾音は気持ちが先に立ってしまうから、すらすらと話せなくてもいい」と三木監督。緊張した様子のふたりだったが、それぞれ、事前に準備も行ってきている。歌唱とギターに初挑戦する生見は約1年前からトレーニングとレッスンを始め、発達性ディスレクシアに関しても勉強。また、道枝は自身もなにわ男子の楽曲「Time View~果てなく続く道~」で作詞を手掛けた経験があり、本作のためにギターも練習。そんなふたりだけに、監督の言葉を受け、セリフを読み上げると、自然とそれは春人と綾音の会話にも空気にもなっていく。
今作は『今夜、世界からこの恋が消えても』(22年)の制作チームが再集結。そんな中で企画プロデュースの春名慶が今作にのせたかったものとして語っていたのが、「入り混じった感情」。ひたすら純粋で献身的だった『セカコイ』の透に対して、春人は自身ももがき、あがいてもいる。道枝はその言葉に頷きながら、「ひとつの感情ではないんですよね」とあらためて春人をしかと受け止めていた。
読み合わせを終え、「覚え書きみたいなものです」と三木監督からふたりへと手紙が手渡されたが、さらに道枝にはもうひとつプレゼントが用意されていた。この日は7月22日で、3日後の25日は道枝の誕生日。「君歌」チームを代表し生見がバースデーケーキを運んで来ると、道枝はお礼を言いながら笑顔で「23歳最初の作品なので頑張ります」。はじまりの歌は、道枝へのバースデーソング。こうして『君歌』は幕を開けた。
クランクイン-道枝駿佑の目が語るもの-
2nd VERSE
2025年7月30日にクランクインを迎えた本作。撮影は春人の家からスタートした。通り土間に沿って一列に並ぶ各部屋を飾り付け、そのまま水嶋家としている。こだわりの美術、うららかな照明、カメラを通してモニターに映し出される優しくも儚い情景と、お馴染みの“Mickey”と刺繍された三木孝浩監督のディレクターズチェア。また三木組が動き出したと感じさせる。
ファーストカットは、学校から帰って来た春人の「ただいま」。当たり前のように手を洗い、祖母・啄子(宮崎美子)の夕食作りを手伝う。何気ない日常描写だからこそ、そこに春人の生活と人柄、道枝駿佑の所作の細やかさと佇まいの美しさもあらためて浮かび上がる。
両親を事故で亡くし、祖父母に育てられた春人。祖父・礼史(五頭岳夫)は筆職人の伝統工芸士という設定で、撮影には本職の方が指導で付いているが、現場で三木孝浩監督が所作とあわせて聞いていたのがセリフの味わいとなる方言。
実は祖父が作っているのは伝統工芸品の豊橋筆で、今作の舞台となっているのは原作者・一条岬氏、また生見愛瑠の出身地でもある愛知県の、東部に位置した東三河地域。春人の家の撮影は他県となったが、豊橋市や蒲郡市でロケが行われ、趣ある風景が映し出されている。生まれ育った土地の空気の穏やかさや人の優しさ、一方での自分の居場所や将来に対するもやるせなさやもどかしさ。そうした情感があいまって、物語をさらに温かくも切ないものにしている。
一連の芝居を終え、「変に気負わず、いい緊張感の中で出来ました」と道枝。このあと、春人の部屋のシーンも撮影されたが、そこはまさに春人らしい空間。詩集や小説が並び、机周りにはさまざまな言葉が書き出された付箋、自筆の詩も貼られている。机に向かう春人に寄ったカットをモニターで見ながら、三木監督がスタッフに言う。「ちょっとした瞬きや視線の動きが今回の狙いです」。それは春人の感情の揺れそのもので、その揺れが物語を震わせていく。撮影の合間に、部屋に貼られた言葉の数々をじっくりと見ていた道枝。そうして春人の空気を吸収した道枝の目、そして生見愛瑠の声が、『君歌』を紡いでいる。
初共演-ふたりの位置関係と距離感-
3rd VERSE
綾音が春人の詩をメロディに乗せて歌って見せ、そして真っすぐな目で言う。「歌詞を作ってほしいの、私に」。生見愛瑠の最初の撮影シーンとなったのは、まさに渡り廊下で綾音が春人を呼び止める映画冒頭の場面。8月2日から3日間を掛けて行われた学校ロケの初日から撮影に入り、道枝駿佑との初共演を迎えた。
この日は雨の心配もあったが、朝までには止み、天候にも恵まれた。周囲いわく生見は「晴れ女」。実際、このあとも綾音まわりの撮影日は天候に恵まれ、一方で春人まわりは……。綾音の撮影日の情景を三木孝浩監督が毎回写真に撮って、道枝にアピールするというのがお約束の遊びで恒例のコミュニケーションになっていたというのは、また別の話。
この渡り廊下の出会いのシーンで三木監督がこだわっていたのは、春人と綾音の位置関係と距離感。背後から綾音に呼び止められ、春人が振り返る。そこでふたりは物理的にも精神的にもどれだけ近づくのか。道枝と生見のあいだもいい意味でまだどこかぎこちなく、それがシーンにも生きてくる。初日から歌もあって、「すごく緊張しました」と苦笑していた生見。それでも綾音の凛とした雰囲気を体現しつつ、合間にはスタッフを交えて道枝と生見が談笑する姿もあって、和やかに撮影は進んでいた。
あるとき、学生時代の制服についてスタッフに聞かれたふたり。ブレザーだったという道枝に生見が東京はおしゃれだと返して、大阪だと言われると「そうだ! なにわ男子ですもんね(笑)」。すかさず道枝も、「東京だったら、嘘つきじゃないですか(笑)」。またあるときは、生見がツッコミ役。何やら道枝が今回、単独初主演だということを理解していなかったようで、それを知った生見が「あなたが主役です(笑)」と言うと、道枝は「やめて、恥ずかしいから(笑)」。絶妙な道枝と生見の位置関係と距離感。どちらも純粋で無邪気なふたりだった。
音楽-生見愛瑠の歌が奏でるもの-
4th VERSE
一躍人気アーティストとなった綾音の地元凱旋ライブのシーン。ロケは埼玉県にあるホールで行われたが、ポスターやグッズも用意され、およそ800人のエキストラが集まった空間は“Ayane”のライブ会場そのもの。何より、実際に自分の歌唱と演奏でステージに立つ生見愛瑠が本物の興奮を生む。また、それを受けての道枝駿佑の芝居が、このライブ会場だけでなく、本作が上映される全国の劇場の客席を感動で包んでいく。
道枝自身にとっても挑戦だったシーン。今作にあたって三木孝浩監督は「音楽のような芝居をしてほしい」と話していたが、音楽自体でも切ない歌声と表現で魅せた生見。そしてその演技と表情自体がまるで美しい音楽のようだった道枝。カットが掛かっても客席からの拍手が続いていた。
音楽を手掛けたのは亀田誠治。レッスンや撮影にも立ち会い、「君と見つけた歌」やAyaneのシングル曲「Wings」などの劇中歌を書き上げている。その歌唱シーンで生見が印象的だったと語るのが路上ライブ。約100人のエキストラに参加いただいてのロケで、「綾音が初めて曲を披露して、私自身も初めて演奏するシーンだったので緊張しました」と生見も語るように、直前までギターの練習をして喉を慣らす姿があった。
また、綾音の叔父・正文(萩原聖人)がオーナーを務める“トラットリアMASA”の撮影の裏側では、ケンさん役の新羅慎二が生歌唱。ロケは8月下旬に群馬県にあるカフェレストランで行われたが、三木監督の誕生日が近いということで、サプライズ祝いを実施。新羅からギターの生演奏でバースデーソング、道枝からケーキ、生見から花束が贈られ、三木監督は喜びもひとしおの様子だった。
そのトラットリアでのクリスマスライブのシーンが印象的だったと語るのは道枝。「本格的にライブをする綾音を初めて間近で見て、春人の綾音に対するすごいという思いと複雑な思いをすごくリアルに感じられました」。カットが掛かって、あらためて「いい歌ですね」と話していた道枝。それに対して企画プロデュースの岸田一晃が、冗談めかして「春人さんがいい詞を書いているからですよ」と返す。劇中に登場する楽曲の歌詞を書いているのは音楽プロデュースの亀田だが、春人の詞ということは、つまりは演じる道枝の詞。プロデューサーの言葉に、道枝は春人さながらの笑みを見せていた。
セット-それぞれにとっての聖域-
5th VERSE
学校の旧図書館にある元文芸部の部室は、春人と綾音の「聖域」となる場所。その撮影はスタジオに組まれたセットで行われたが、道枝駿佑も生見愛瑠も感嘆していたのがその作り込み具合。飾りや小道具はもちろん、撮影に際してスライド式で動かせるようになっていた本棚に一同は、「魔法学校みたい!」。その空間に、光や窓からそよぐ風にまでこだわった三木孝浩監督のマジックが掛けられていく。
春人と綾音が音階の記号を一緒に考えるシーン。ふたりして黒板の前に立ち、左右入れ替わりながら書いていくというのは三木監督の演出で、「秘密の暗号」という綾音のセリフがさらに胸に響いてくる。またそこでのやりとりは道枝と生見のアドリブ。記号の中身は今作のために考えられたもので、ふたりはその理由付けだけを踏まえたうえでセリフと芝居を作っていき、春人と綾音の会話、空気を紡いでいた。
そして季節は移り、東京に行くことになった綾音と春人のやりとり。道枝は今作の撮影を通じて、「監督と話し合いながら出来るようになったことが成長かなと思います」と語っていたが、特にそれが感じられたのがこの場面だ。立ち位置、語気や表情。そもそも春人は綾音を見ながら話すのか、見ないで語るのか。さまざまなパターンを試しながら、何度も段取りが繰り返される。道枝も自分の思いを監督に語り、相談しながら出来上がったのが現状のシーン。道枝にとってもこの場所は聖域だったに違いない。
クランクアップ-挨拶で見せた涙と笑顔-
6th VERSE
走り出す電車を見送るしかない春人と、その電車の中でしゃがみ込んで涙する綾音。撮影期間としては約2カ月にわたった『君が最後に遺した歌』の最後に待っていたのは、ふたりが離れ離れとなるシーン。撮影は実際の駅と電車を借りて行われ、2025年9月29日、春人役の道枝駿佑、綾音役の生見愛瑠、ふたり揃ってのクランクアップとなった。
今作を振り返って、「泣くシーンが多くて、全部同じように見せないというのが難しかったです。自分の年齢より上を演じることも今までなかったので挑戦でしたが、皆さんに助けていただいて、無事やり切ることが出来ました」と道枝。その言葉どおり、10年にわたる物語で高校生から社会人までを演じ、さまざまな表情と涙を見せてもいる。クライマックスはもちろん、例えばAyaneのライブを訪れた際の芝居。道枝自身も悩みながら臨んだシーンだったが、そこには演技を超えた春人の切なさが滲んでいた。そんな道枝に「本当に素晴らしい演技をしてくださった『セカコイ』の透とはまた違った人物ですが、春人もいいヤツなので、お願いします」という言葉を贈っていたのは、スタジオ撮影の際、現場に訪れて撮影を見ていた一条岬氏。他ならぬ原作者が認め、そして託した存在。道枝でしか体現出来なかった春人がスクリーンに息づいている。
クランクアップを迎え、挨拶に立った道枝と生見。まずは生見からで、込み上げるものに言葉を詰まらせながらも「難しいことばかりでなかなか自分の中で正解を見つけられず、終わりが見えなかったですが、こうして今日という日を迎えられて、綾音という役に出会えて、本当に誇りに思います」と締めくくると、「よく頑張ったよ」と三木監督。一方、生見の挨拶の中で「人柄に助けられました」と言われて、恥ずかしそうにペコリと頭を下げていた道枝。挨拶では「ひと夏の挑戦が終わったなというか、すごく充実した期間だったなと思います」と語り、清々しい顔を見せていた。
最後に、三木監督が挨拶を求められて語ったのは、今作に見ていたもの。「この作品を撮るにあたって、物語を紡ぐのではなくて、ふたりの距離感や心の動きを丁寧に切り取っていくということを一番念頭に置いて撮影していた気がします。道枝くんは2回目ですごく成長した姿が見られて、生見さんはこんなに素敵な表情、感情表現をしてくれるんだと感動しました。本当にふたりとスタッフのおかげでここまで来ることが出来て、感謝しています」。
今、音楽は鳴り始め、ここにまた新たな名作が登場する。